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<注意⚠️  手術の画像が含まれますので、苦手な方はご注意下さい

乳腺腫瘍

乳腺の組織の一部が腫瘍化することによってしこりができる病気です。

発生の要因として、女性ホルモンや遺伝的体質の影響があると言われています。乳腺腫瘍は大きく「良性」と「悪性」に分けられます。犬では良性と悪性が同じくらいの確率で発生するのに対して、猫では80%近くが「悪性」となります。

<診断>

・乳腺のしこりに対して細い針を刺して細胞を採取します。細胞検査で乳腺腫瘍が疑われる結果となった場合、手術でしこりを切除します。しこりを病理検査することで、「乳腺腫瘍の診断」と「良性か悪性かの診断」をすることが出来ます。

<治療>

・外科手術

しこりのある乳腺を切除します。手術の方法は様々で、摘出する乳腺が1つ〜片側全てなど、しこりの発生している場所などを参考にして最適の方法を選択します。

腫瘍細胞が全身転移している場合には、外科手術の後に抗癌剤を使用することもあります。

・予防

犬、猫ともに早期に不妊手術をすることで、乳腺腫瘍の発生リスクを大幅に下げることが出来ます。

犬では、初回発情がくる前に不妊手術を行うと未不妊と比べて発生リスクが0.5%になると言われています。

猫では、6ヶ月齢より前に不妊手術を行うと未不妊と比べて発生リスクが90%減少するとも言われています。

​犬猫ともに、しこりが小さいうちに摘出する方が予後が良いと言われています。乳腺にしこりを発見したら、早めに病院を受診しましょう。

          

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​肛門腫瘍

肛門周囲に発生する腫瘍で、代表的な腫瘍をご紹介します。

肛門周囲線腫瘍

肛門の周囲には、「肛門周囲腺」と呼ばれる分泌腺があります。

この肛門周囲腺が腫瘍化したものが肛門周囲腺腫瘍と呼ばれ、以下の2種類があります。

ー肛門周囲腺腫良性) 

ー肛門周囲腺癌悪性

肛門周囲腺腫の方が発生率が高い傾向となっています。

<症状>

・肛門周囲が腫れている  

・肛門周囲を気にして舐めている、こすっている

・肛門周囲から血が出ている(痛みを伴うこともあります)

<診断>

・細胞診検査

腫瘤に対して針を刺して細胞を採取し、外部検査機関で検査をします。

細胞診検査では、確定診断をすることは出来ません。

そのため、「肛門周囲腫瘍が疑われる」との結果が出たら、手術で摘出して診断(病理診断)をつけることになります。

<治療>

・外科手術

・去勢手術 肛門周囲腺腫の場合、男性ホルモン(アンドロゲン)が発生に関連していると言われているため、去勢手術で退縮させることが出来ます。

ただし、腫瘍から出血していたり、感染が強く起きている場合は、腫瘍の切除も同時に行います。

病理診断の結果が、

ー肛門周囲腺腫良性)→腫瘍が取り切れていれば、完治となります。 

ー肛門周囲腺癌悪性)→転移病巣が見つかれば、追加療法として抗癌剤治療をすることもあります。

  

 

肛門嚢腺癌

 

肛門嚢(臭腺、におい袋のこと)に発生する悪性腫瘍です。

周囲への浸潤が強く、全身転移することが多い腫瘍です。

<症状>

・肛門周囲が腫れている  

・肛門周囲を気にして舐めている、こすっている

・肛門周囲から血が出ている(痛みを伴うこともあります)

・排便時にしぶりがある、便が出にくい

ー巨大化した腫瘍が肛門を狭めてしまう

ーお腹のリンパ節に転移して、リンパ節が腫れることで腸が圧迫され便が出にくくなる

・多飲多尿(高カルシウム血症になることが原因)

<診断>

・細胞診検査

腫瘤に対して針を刺して細胞を採取し、外部検査機関で検査をします。

細胞診検査では、確定診断をすることは出来ません。

そのため、「肛門嚢腺癌が疑われる」との結果が出たら、手術で摘出して診断(病理診断)をつけることになります。

<治療>

・外科手術

・術後化学療法(抗癌剤) 

転移病巣が見つかれば、追加療法として抗癌剤治療をすることもあります。

  

<当院での治療例>

犬 10歳 去勢オス 

1ヶ月前に肛門にしこりを確認、次第に大きくなってきた。

2週間前にしこりから出血し膿んでいる。

細胞診検査にて、「良性腫瘍が疑われる」との診断。

腫瘍から出血しており、拡大傾向にあるため腫瘍の摘出を実施

病理診断結果

肛門周囲腺腫(腫瘍は完全に摘出されている)

​術後2週間目に抜糸を行い、治療終了とした。

​<摘出した腫瘍>

​<手術所見>

​腸管腫瘍

​犬猫ともに腸の腫瘍の発生率は全腫瘍の10%ほどと言われています。腫瘍の種類は、腺癌・リンパ腫・平滑筋腫瘍・などがあり、一般に高齢での発症が多くなっています

<症状>
・食欲不振 ・消化器症状(嘔吐・下痢) ・体重減少 ・便秘 ・しぶりなど
​腫瘍による消化管の閉塞や穿孔(腸に穴があく)、腹膜炎などが起こると症状が顕著に現れます。

​<診断>
・画像検査(超音波検査、レントゲン検査、CT検査、内視鏡検査など) ・血液検査
・細胞診検査

​<治療>
腫瘍の種類によって治療法が異なります。
​診断をつけた後に、外科手術や抗がん剤による治療を行います。

<当院での治療例>

猫 13歳 去勢オス 
数日前からの食欲低下と嘔吐を主訴に来院

画像検査にて、小腸に腫瘤病変を確認
細胞診検査にて、「悪性腫瘍が疑われる」との診断。

腫瘍は拡大傾向にあり、消化管に部分的な閉塞が見られているため腫瘍の摘出を実施

<手術所見>

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回腸〜盲腸〜結腸にかけて腫瘤が存在

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​腫瘍と摘出し、腸を吻合

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