1:近隣での発生状況(江東区・墨田区)
2024年11月末より墨田区の錦糸公園でレプトスピラ症が発生している、と飼い主様からご報告が数件ありました。
また、2025年1月6日に飼い主様より小松川公園でレプトスピラ症が発生したとのお話がありました。
いずれも飼い主様同士の交流やS N Sからの情報であり、真偽に関しては不十分ではありました。
犬のレプトスピラ症は届出伝染病に指定されており、動物病院で診断した場合は、直ちに東京都に届出をします。
その後東京都から発生地域の区保健所に通達され、「レプトスピラ症が確実に発生した」ことになります。
動物病院で診断されて届出をしないと「確実に発生した」とアナウンスは出来ないのです。
2025年1月7日に、東京都家畜保険衛生所に問い合わせたところ、以下の回答がありました。
<2025年1月7日時点>
2024年11月15日 墨田区で2件の発生あり(1件:イクテロヘモラジー型 1件:不明)
※江東区での発生なし
上記はあくまで「動物病院で診断された場合のみ」であるため、江東区にレプトスピラに感染している個体やレプトスピラがいない、ことにはなりません。
2:犬のレプトスピラ症とは
「犬のレプトスピラ症」 国立感染症研究所H Pより引用
犬での発生数は多くはありませんが、致死率の高い病気です。
また、人間にも感染する病気であるため注意が必要です。
私は獣医師になって13年目になりますが、1例だけレプトスピラに罹患したワンちゃんを経験しました。
アウトドアで山に行き、増水後にできた川の水溜りの水をたくさん飲んだ後から体調が悪化し、残念ながら腎不全・肝不全で亡くなってしまいました。
3:予防するためには
・公園や河川などの土壌や水溜りには近づかない(特に錦糸公園)
・ワンちゃんをネズミの死骸に触れさせない
・ドックランでワンちゃんの排泄物に近寄らせない(中々難しいですが…)
上記の対処で問題は無いと思いますが、ご心配な飼い主様にはレプトスピラ対応ワクチンの接種をお勧めします。
① 当院で1年以内に7種混合ワクチン(レプトスピラ対応ワクチン)を打っている
→今後も継続して1年に1回の7種混合ワクチン接種
② 当院で1年以内に5種混合ワクチン(レプトスピラ非対応ワクチン)を打っている
→レプトスピラワクチンを3〜4週間間隔で2回接種
その後は年に1回の7種混合ワクチンを接種
③ 1年以内にワクチン接種をしていない
→まずは7種混合ワクチンを打ち、3〜4週間後にレプトスピラワクチンを接種
その後は年に1回の7種混合ワクチンを接種
※注意※
レプトスピラには様々なタイプの型(血清型)があります。
当院で取扱いしているレプトスピラワクチンは「カニコーラ型」と「イクテロへモラジー型」のみ対応できます。
これら2種以外のレプトスピラ血清型は予防できません。
(錦糸公園で発生した1件は「イクテロヘモラジー型」です)
レプトスピラ対応ワクチンを打てば完全に大丈夫!ということにはなりませんのでご注意下さい。
レプトスピラ対応ワクチンを初めて接種する場合は、午前中の来院をお願い致します。
接種後にワクチンアレルギー等で体調が悪化した場合、午後に診察出来るようにするためです。
簡単ではありますが、レプトスピラの発生状況と病気についてお話をしました。
今後の発生状況に変化がありましたら都度ご連絡致します。
ご不明点等ございましたらご相談ください。
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