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  • 榎本 雄太

全身麻酔のリスクについて

更新日:2022年1月27日



前回の記事で、

「当院では必ず麻酔をかけて歯科処置をしますが、高齢動物や病気持ちの患者さんの場合は麻酔をかけられるかを慎重に評価する」

とお話させて頂きました。


飼い主様からは「うちの子は高齢だから全身麻酔が心配です」とご相談を受ける機会が多いのですが、そもそも全身麻酔のリスクとはどれくらいで、どのように評価するのでしょうか??


「麻酔リスク」とは麻酔中だけではなく、麻酔から覚めた後も含めてお話をしています。

手術は無事に乗り越えても、術後に腎臓や心臓などが悪化して死亡してしまうこともあるのです💦



当院では、アメリカ麻酔科学会術前全身状態分類(ASA -PS分類)によって動物の全身状態を評価しています。

                               

クラスI〜Ⅴまでの5段階評価になります。


<ASAーPS分類>


クラス I :臓器疾患のない、健常な動物

クラスⅡ:新生子や老齢動物、肥満の動物、軽度の全身性疾患がある

クラスⅢ:中等度の全身性疾患を有する(発熱・脱水・食欲不振・貧血・心臓/腎臓疾など)

クラス Ⅳ:死に至る可能性のある重度の全身状態である

クラスⅤ:24時間以内に死亡することが予想される


<麻酔リスク(死亡率)> 

※麻酔中または、麻酔が終了してから7日間経過するまでに死亡した動物が対象


クラス  I:0%

クラス  II:0.47% 

クラス Ⅲ:6.0% 

クラス Ⅳ:22.2 

クラス Ⅴ:データなし(手術をしていない)


引用:酪農学園大学附属動物病院麻酔科における術前の全身状態と外科手術における麻酔関連死亡例の発生率(2010年)


※麻酔の専門医が所属する大学病院でのデータとなりますので、全ての病院に当てはまるものではありません。


クラスⅠ・Ⅱでは、死亡率が低いのですが、クラスⅢからはかなり高くなります💦


術前の検査などでASA分類を行い、麻酔リスクを評価します。


緊急手術の必要があるほど重症の場合では、たとえクラスⅢ・Ⅳの動物でも麻酔をかけることはありますが、クラスⅤでは手術は行わないようにしています。


術前検査で病気が見つかれば、治療をして、ある程度状態を安定させてから手術を行うこともあります。


例えば歯科処置の場合、動物の状態に応じて以下のケースが考えられます。


case1:若くて健康→クラスI

case2:高齢で健康→クラスⅡ

case3:高齢で歯周病がひどく、そのせいで元気食欲低下など全身状態が悪い→クラスⅢ


歯周病が原因で全身状態が悪くなる前であれば、麻酔リスクは低くすることが出来ますね💡元気なうちに処置をすることはとても大切です😄


麻酔リスクがかなり高い場合には、麻酔をかけない(手術をしない)治療法も飼い主様と相談しながら検討させて頂きます。


「100%安全に麻酔をかけることが出来ます!」と言い切ることは難しいですが、術前検査をしっかりと行い、術中〜術後も慎重にケアすることで麻酔による事故を防ぐように努めています。

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